先日、Softbankから料金プランも発表され、
日本発売もいよいよだと実感できるようになってきたiPhone 3G。
(料金プランの詳細は
こちらの記事をどうぞ)

iPhone 備忘録では、前回から「料金の考察」と銘打って2回に渡り、
iPhone 3Gの料金の是非を私なりに検証しています。
(前編は
こちらです)
前回は、5,985円という定額料金の値段を他社と比較してみました。
結果は他社の上限額と大差無いというものでしたが、
そもそも携帯電話のPCサイトビューアーとiPhoneのSafariは
使い勝手に大きな差があり、
やや強引に感じられる比較だったことも否めません。
後編となる今回は、iPhoneの機能から5,985円という料金にアプローチし、
さらに最も波紋を呼んでいると思われる、
固定定額への
強制加入について、考えてみたいと思います。

※尚、この記事ではなるべく事実に基づいたことを書く様に努めましたが、
正確性を欠く部分があるかもしれませんのでご注意ください。
また、この記事には私の推測や私感も含まれています。
予め、ご了承ください。
iPhoneの特殊な通信事情を考える冒頭で触れた様に、他社との比較では殆ど同等だったiPhoneのパケット定額料金。
とはいえ、iPhoneのパケット使用シーンは、従来の携帯電話と大きく異なります。
尚、この項目はiPhoneの機能をふんだんに活用した場合を想定しています。
外ではiPhoneの使用をパケット対策でセーブしようと思っている方は、
この後の固定定額の理由について考察した項目も読んでいただければ幸いです。
・唯一無二の選択肢、Safari
iPhoneのブラウザにはSafariが採用されています。
このSafariは携帯電話のフルブラウザと異なり、
使い勝手に関してはMacOS XのSafariと遜色ありません。
そして、現時点ではiPhoneのウェブブラウザはSafariのみです。
そのため、ユーザーは原則としてSafariを使うことになります。
従って、料金プランの発表でSoftbankの孫社長が触れた通り、
iPhoneによるパケットの送信量が、
フルブラウザを備えた一般的な携帯電話のそれを大幅に上回ることは、
容易に想像が可能です。
iPhoneを手にしたユーザーの多くがSafariを使用し、
回線に負担をかけるであろうことを考えると、
iPhoneの定額料は決して高くはないかもしれません。
・iPhoneの膨大な通信はSafariに限らないiPhoneのパケット通信はSafariのそれに限りません。
他の携帯電話、或いはスマートフォンと比べても、
便利に使おうと思った場合は、
そのパケット通信料は膨大なものになることが予想されます。

例えば、メール。
iPhoneのメールソフトは本格的なものが使われています。
具体的にはHTMLに対応しIMAPやPOPに対応、
さらにPDFでもパワーポイントのファイルでも添付ができるなど、
MacのMail.appやWindowsのOutlook Expressと比べても遜色ありません。
一部のスマートフォンを除けば、
携帯電話の添付ファイルの制限には厳しいものがあります。
対応するフォーマットの写真や動画を、
限られた容量の範疇でしか添付することができません。

Google Mapと連動したGPS機能も
大量のパケット通信を行うことが想定できます。
A-GPSと呼ばれるiPhoneのGPS機能は、
位置の測定に周囲の中継局も活用するからです。
勿論、Google Mapを使うことによるパケット通信も膨大でしょう。
一般的な携帯電話の場合もGPS機能は普及してきましたが、
例えばサービスの先駆けとなったEZナビウォークでも、
流石に航空写真を交えたGPSでの道案内は行うことができません。

メールやGPSに限らず、iPhoneはパケット通信を行います。
アイコンを載せたYouTubeも然りですが、
それ以外にも多くの外部アプリケーションが、
膨大なパケット通信を行うことになるでしょう。
例えばauの場合、EZアプリで送信されるデータ量は、
1日3MBまでと厳しく制限されています。
定額なのに、結局制限されてしまうのです。
docomoやSoftbankもアプリが送受信するパケット通信量は、
動画アプリ等の多少の例外はあれ、たかが知れています。
それと比べると、iPhoneで想定されるパケット通信量は、
従来の携帯電話と比べて比較にならないと思われます。
以上の事情を考えると、
少なくともiPhoneのフルに活用する人の場合、
5,985円という料金は他社より
安いとも考えられます。
勿論、海外と比べるともっと安いケースは存在します。
例えばAT&Tの場合、無制限データ通信プランは月々$30です。
(海外の通信料は
こちらの記事も参考にしてください。)
しかし、アメリカでの物価は、一概には参考にできません。
通信料に限らず、例えば自動車の価格を1つとっても、
為替レート通りに計算した場合、日本より大幅に安くなってしまいます。
物にも依りますが、アメリカの物価は大概、日本より安くなります。
そもそもアメリカ人の$30に対する感覚が、
日本人の3,200円と同じ感覚かどうかは微妙なところです。
勿論、日本でSoftbankがiPhoneの定額料金を3,200円に設定すれば、
それは私としては大変歓迎したいところなのですが、
上記のパケット通信量や他社との比較を考えても、
簡単に実現するのは難しいのではないかと思います。
故に、5,985円、少なくとも現状の日本国内の基準・相場からすれば、
十分安いと思うのですが、如何でしょうか?
固定定額・強制加入の理由上に書いて来た内容は、
iPhoneの機能をフルに使ったらという仮定に基づいています。
しかし、外ではメールと電話くらいすれば十分、
iPhone 3Gは折角 Wi-Fi 機能を持っているのだから、
その他のデータ通信は Wi-Fi 環境下でしか行わないという人たちには
固定式のパケット定額料金をSoftbankから強制されることが、
大きな障害に感じられている様です。
iPhone 3Gの価格は日本では8GBで実質23,040円となりましたが、
スーパーボーナス等を考慮しないと69,120円という計算にもなります。
(詳しくは
こちらの記事をどうぞ)
iPhone 3Gの原価は$173であるという試算も出ているそうです。
$173の品物の定価が$199で済むわけがないので、
この点からも各キャリアがiPhone本体の代金のうち結構な部分を、
ユーザーの代わりに肩代わりしていることが分かります。
そんなわけで、
iPhone 3Gは、ぱっと見には安くなったけれども、
結局のところ高額なパケット通信料で利益を回収する気ではないか!
日本で問題になった販売奨励金システムの再来ではないか!という意見がiPhone 3G発表以来多く見られる様になりました。
確かに、その点は完全には否定できません。
しかしそのことと、問題になっている
固定定額、強制加入は、
また別の問題ではないかと思うのです。
後半はその点について検証して行きましょう。
・定額のオプション扱いは危険すぎる?iPhone 3Gのプレスリリースには、
・基本使用料が980円
・パケット定額料が5,985円
と掲載されました。
当初は一部のニュースサイト等で980円で使用可能!とも報じられ、
その後、パケット定額プランが強制加入であることを知り、
幻滅した人はかなりの数に上る筈です。
実際問題、パケット定額料はiPhone 3Gの場合、
基本料金と看做してもおかしくない性質を持っているので、
その点ではSoftbankのプレスリリースはちょっと不親切です。
虚偽広告だと文句を言われても仕方ないかもしれません。
しかし、仮にパケット定額プランをオプションとしたとします。
パケット定額プランに加入する必要がなくなった場合、
定額プランに加入せずiPhone 3Gを契約する人は、
確実に増えることが想定されます。
但し、前述の様に iPhone 3G は膨大なパケット通信を行います。
もし、日本の携帯電話を使って来た人が、
iPhone の通信事情を十分に把握せずに、
今までの普通の感覚でiPhoneを使用したとしても
(例えば天気予報と株価のチェック、メールのやり取り、
音楽を数曲購入、数回のGPS使用)
そのパケット通信料の請求額は予想外なものに膨れ上がる危険性があります。
勿論、ショップで販売時に十分な警告を行う等の対処は考えられます。
しかし、Wi-Fi 環境と電話回線環境をシームレスに切り替える
iPhone 3Gの場合、知らず知らず3Gの通信が行われる可能性もあります。
Wi-Fi でしかパケット通信をしないと決めていた人が、
3Gの通信による予想外な請求に驚く危険性も十分あります。

従ってパケット定額プランを強制しなかった場合は最終的に、
iPhoneにより"パケ死"する人が多数出て来る可能性は高くなるでしょう。
実際にAT&Tでは初代iPhoneでパケ死した人が出て問題になりました。
この様な事態は、訴訟問題に繋がる危険性もあり、
また、iPhoneやSoftbank自体のイメージ低下にも繋がりかねません。
パケット定額の強制はやむを得ないFoolProofなのではないでしょうか。
・スライド式は意味を成さない可能性もせめて、スライド式の定額制だったら・・・。
そんな声も聞かれます。
しかし、スライド式の定額制であることは、
iPhone 3Gの場合、殆ど意味を成さないことが予想されます。
初代iPhoneはパケットを勝手に垂れ流すという
大きな特徴(?)がありました。
残念ながらこの点についてはソースを見つけられなかったのですが、
ウェブ上を検索したところ、
長期の海外旅行にiPhoneを持って行ったアメリカ人が、
出先で殆どiPhoneを使っていないにも関わらず、
相当額のパケット通信費を請求された
或いは、
海外旅行のときにSIMカードをレンタルし、
自分のiPhoneに差し込んだところ、
以前借りた携帯電話と同じ様にしか使わなかったのに、
データ通信の請求額が多くなった
等、iPhoneがパケットを垂れ流している故に起こるかと思われる、
いくつかのレビューに出会いました。
もしも、スライド式定額制を採用したとしても、
仮に iPhone 3G にもパケット垂れ流し仕様が継承されていた場合、
放っておいても一ヶ月のうちには、
定額の上限に達してしまうことは想像に難くありません。
結果としてスライド式定額制はiPhoneの場合、
有名無実の二重価格もどきになってしまう可能性があります。
Softbankはゴールドプラン等の分かりにくい料金が、
詐欺まがいだとして、過去に大きな問題となりました。
仮にiPhone 3Gでスライド式定額制を採用した場合も、
詐欺まがいの二重価格だと問題視される危険性があります。
スライド式定額制を採用した場合、
「安い」という印象を与える効果は高いでしょうが、
Softbankとしてはリスクを避けたのではないかと推測します。
※尚、初代iPhoneは海外旅行パケ死問題を回避する為に、
パケット通信を遮断するモードを備えていたとも聞きます。
しかし、このモードではメールの送受信すらできなくなります。
現在の日本で、携帯電話で外出先でメールができないということは、
ビジネスユース、プライベートユースに関わらず、
実用を欠くと思われます。
本当の問題はサービス開始後から以上、2回に渡り、iPhone 3Gの料金を考察してきましたが、
如何だったでしょうか?
・他社と比較した場合、定額料金は比較的安い
・固定定額への強制加入はやむを得ない措置であるということを、今回の考察での一応の結論とさせて頂きます。
但し、相場からすればこの料金が安かったとしても、
最終的に高いか安いか決めるのは、それぞれの人の判断に依ります。
(私個人の金銭感覚からすれば、パケット定額だけで5,985円、
総額で月々7,280円以上は、正直、少々高いです)
私は、本当の問題はサービスが始まってからだと思っています。
もし、iPhone 3Gを手に入れた人の多くが、
月々7,280円の基本料金に通話料を加えた料金を払ってでも、
それを上回る価値があると判断し、その評判を広めれば、
今よりも7,280円を高いと思わない人も増え、
iPhone 3Gの売り上げは伸びると思われます。
最終的に料金の値下げにも繋がるかもしれません。
一方でもし、iPhone 3Gのサービスが円滑に進まなかったとしたら。
例えば回線の負荷をSoftbankが十分に想定しておらず、
折角の豊富な通信機能が途絶えてしまったり、
或いは専用USIMを導入したために修理態勢が整わず、
iPhoneのトラブル時のサポートで問題が多発したとしたら、
折角手に入れた人も、月々7,280円の価値を見いだせなくなるのは明らか。
そうなれば iPhone 3G は1,2年後には、
一部のマニア向けアイテムに成り下がってしまうでしょう。
それは、残念なことだと思います。
Softbankの回線はdocomoと比べて貧弱だという批判をよく見かけます。
携帯電話向けのJAVAアプリケーションである"jigブラウザ"は
動画再生機能の使用時間に制限を加えていますが、
この理由は動画再生のトラフィック増に配慮しているとアナウンスされています。
昨年から話題を呼んでいる"ニコニコ動画"も
Softbank向けには正式にはモバイルサービスを提供していません。
技術的には可能にも関わらず、サービス提供に踏み切れないのは、
動画による帯域圧迫が懸念されているからではないかと言われています。
(
参考ソース)
果たして iPhone 3G のパケット通信量に
Softbankの回線が持ちこたえられるのかを危惧する声もあります。
幸い、SoftbankはiPhone 3Gの購入者に対し、
90日間の無料電話サポートを用意する等、
十分なサポートを行っていこうという気概の片鱗を覗かせています。

7月11日にiPhone 3Gが発売されれば、
幸運にも手に入れたユーザーからの評価が聞ける様になります。
iPhone 3Gの料金について本当に考察が可能になるのは、
それからなのかもしれません。